接客の壺 接客徒然

ご満足いただける接客3段階(3)  ~社外接客 考え方~

今回のテーマは「お客様にご満足いただける接客三段階」の第三段階目です。

第一段階は、「お客様に嫌な気持ちを起こさせない」
第二段階は「言われる前に行う」ということまで説明してきました。

第三段階は「思いがけないことをする」という段階です。

木下藤吉郎が織田信長の草履を懐に入れて温め、ソッと差し出したというあれです。
思いがけないことをする事は、お客様が考えてもいないような事をすることになります。

例えば、飲食店でお客様が、「お茶をください」と言われたら、既に要望が出ていることになります。
この三段階目は、お客様がお茶を欲しいと思う前に、サッとお茶を入れることです。
思いがけないという段階の割にはたいしたことはないと思われるかもしれないですが、
それがどっこい(笑)たいしたことがあるのです。

この発展を考えてみましょう。

例えば今日は自分の誕生日。
誰も祝ってくれる人はいない、と思っていたら、ある人から「誕生日、おめでとう」と声を掛けられました。

これも思い掛けないこと。
『なぜ私の誕生日を知っているの』と思わず笑顔になってしまいます。

ある小売り店に行った時、その店の販売員から、「〇〇様」と名前を呼ばれました。
『え、なぜ私の名前を知っているの』とこれも思いがけないこと。
身近で、些細なこと、大きなことも含めて、思いがけないことをお客様にして差し上げる。
これが、お客様の感動を生むのです。

そのためには、一人一人のお客様が何を要望しているのか、何をしたら喜んでもらえるのか、
考え実行しようとする積極的な気持ちが大切になります。
普段からそういうことを心掛けている人は、常に訓練をしていることになり、相手を喜ばせる達人への道を歩いていることになります。

ですが、思いがけないことをすると、感動していただけるお客様もいますが、逆に怒ってしまう、または不満、怪訝な感情を持ってしまうお客様もいらっしゃいます。

木下藤吉郎の話を書きました、織田信長は、草履が温まっていることで、藤吉郎の人並み外れた機転を読み取ってはいますが、温め方に対して「尻の下に敷いていたのではないか」と言ったという逸話もあります。

思いがけないことをされると、そこに何か魂胆でもあるのではないかという思いが、感動のもう一方に出る時があります。
人の気持ちは、何かされると、素直に受け取るのではなく、疑ってかかる面も持っているのです。

例えば、誕生日の話にしても、『なぜ、誕生日を知っているのか。気持ちが悪い』という人もいます。
名前もそうです。
『なぜ、名前を呼んだのか』と疑問に思うお客様もいらっしゃるでしょう。
そういうお客様がいるので『無難な応対で良い』と考える人もいるかもしれません。
ですが、そうなると、お客様の感動を呼ぶこともありません。
無難の反対は『何もしない』『考えない』という面もあるのです。

お客様の感動を呼ぶためには、このようなリスクを恐れない、ということが上げられます。
またお客様のためにという気持ちの時は、リスクも考えない。
こうしたらお客様に喜んでもらえる、と思えばそのような行動を起こしてしまう方が、
自然な感情であり行動です。

ただマニュアルのように処理するのではなく、相手を思う気持ちは、やはり伝わっていきます。
失敗を恐れず、素直にお客様に接し、学ばせてもらう気持ちが大切ではないでしょうか。

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