現場の真実<2>苦情メール   

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電話を切った後、店長の杉山から電話が掛ってきた。

「佐藤さん、
今アルバイトの2人から電話が掛ってきて、熱が出て休むということなんだ。
明日だけではなく、明後日も休みそうだ。
2人が重なることなんて今までなかったんだけど。
明日、明後日、人手不足だけどよろしく。
明日は難しいが、明後日には出勤してくれる人を探すよ」

沙希は、咄嗟に言った。

「明後日は、8時で上がる日ですが、それ以上に遅くなってしまうことありますか。
友人と会うことになっているんですけど」

沙希は、冷たく言っている自分に気づいてはいたが、
明るい口調では言えなかった。

「君の気持ちもわかるけど、明日は大変な状況なんだよ」

杉山の声も、少し上擦っていた。
怒りがこみあげてきているだろうことを感じさせる声のトーンだった。

沙希は数秒黙った後、

「わかりました」

と言った。
この時は、あえて「わかりました」という言葉を使った。

杉山の電話を切った後、早速、由美へ電話を掛けた。

「今、店長から電話が掛ってきて、明後日、何だか忙しいみたいで。
やんなっちゃう」

「何言ってんの。
仕事でしょ」

と由美は応えた。

「そりゃそうだけど。
ねえ、それほどは遅くならないと思うけど、待っててくれる?
どうしても、話したいことがあるの」

「じゃ、わたしの家に来たら。
沙希も安心でしょ」

「じゃ、そうするね。
ホント、やんなっちゃう。
せっかく会えるのにごめんね」

「何言ってるの。
まずはしっかりと仕事しなくちゃね」

沙希は、学生の時から嫌なことがあった時、腹が立つ時、
「やんなっちゃう」という言葉をよく使っていた。

由美は、沙希の気持ちに何かが生じているのだろうことを察知した。

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