現場の真実<2>苦情メール   

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ある日の朝、アルバイトの山田から電話がかかってきた。
電話に出たのは、佐藤沙希だった。

「山田です。すみません。
体調が良くないので休ませていただきます」

「そう、大丈夫? 病院に行った?」

「はい、今から行ってこようと思います」

「気をつけてね」

沙希は、山田の電話を切った後、店長に報告した。

「今日、山田さんはお休みということです。
体調が悪くて、病院に行くそうです」

「わかりました。
昼のピーク時、大変だと思いますが、よろしくお願い致します」

「はい、かしこまりました」


明くる日、また山田から電話が掛かってきた。
今回も、沙希が電話を取った。

「すみません。
まだ体調が悪くて、今日もお休みさせてください」

「病院に行った?」

「あ、はい」

「そう、体調が悪いのなら仕方がないけど」

「すみません」

沙希は、不信に思った。
今まで風邪一つひかなかった山田。

オートバイを購入するためにお金を貯めようと休みもしなかった。
それどころか、他の人が休みになった時、積極的にバイトを引き受けているぐらいだった。

前回といい、今回といい、電話の声は、病気という割には明るかった。
それが、続けて休むとは。

『何か、あるのではなかろうか』

三日目、山田が出勤してきた。

山田は、沙希に

「また今日から頑張ります」

と、明るい表情で話しかけた。

「体調は、大丈夫? 心配していたのよ」

と沙希は、山田の表情から何かを読み取ろうとした。

山田は、その沙希の視線を外し、

「ありがとうございます。
もう大丈夫です」

と言って担当場所に戻っていった。

『やはり、何かがある。
後ろめたいような視線を感じた。
山田君、どうしちゃったんだろう』

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