現場の真実<2>苦情メール   

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鬼頭から声を掛けられたあくる日の朝、沙希は、先手で

「おはようございます」

と鬼頭に声を掛けた。

鬼頭は、

「おはようございます」

と言ったものの、沙希のほうを見なかった。


『どうしよう。
鬼頭さん、このまま私と話をしないつもりかしら』


あのメール以来、何だか全てが狂い始めているような気がする。

沙希は、今まで鬼頭に言われたことをやっておけば良かった。
最初は、気づいたことを鬼頭に言っていたが、常に否定されたため、言うことをやめた。

鬼頭の言うことを聞いてやっていれば、日々問題なく過ごせるようになった。

頑張って、仕事をしようと思っていた時の前向きな気持ちは後退したが、気分的には楽になった。

沙希は、やっと、問題なく日々を送れるようになったのに、
なぜまた、こんな思いをしなくてはならないのか、と嫌な気分になった。


『店長は、苦情メールに書かれていたスタッフは、鬼頭さんだと思っているのかしら。
鬼頭さんは、店長が疑っていると感じている様子だし……。
それに、その疑いの原因を私が作ったように思っている。

どうしたらいいんだろう。
思い切って鬼頭さんに話し掛けてみようか。……でもどう言えばいいのか。

ああ、もう嫌だ。

そういえば店長、パートさんに言われて仕事をするのではなく、
どうしたらお客様に喜んでもらえるか、考えながら仕事をしてほしいなんて言ってたけど、
そんなの無理よ。

店長が個人面談を始めたら、せっかく、鬼頭さんとうまくやっていたのに
人間関係が悪くなってしまって……。
店長のせいよ。

ああ、どうしよう』

沙希は、この店に配属された時、鬼頭との人間関係に悩んだが、
すぐ対応方法を見いだすことができた。

だが、今回はそうはいかない。

今までは、沙希と鬼頭との問題だけだった。
問題と言っても、沙希が鬼頭への対応を変化させればよかっただけだった。

だが今回は、そこに店長が介在している。複雑なのだ。


そんな時、またまたトラブルが発生した。

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