調剤薬局の出来事   

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▼ 登場人物 ………

調剤薬局にて

松本恵美:大学生3年生
………………………



内科、外科、皮膚科など、いくつかの医院が一か所に集まって、
ビレッジなるものが形成されているところがある。

10数種類の科がある大きな病院ほどではないが、
1か所に数科の医院が集まるのは、いくつかの科を受診したい患者にとって、
移動距離が短縮されるというメリットがある。

また、そのビレッジの敷地内には、ビレッジの医院の調剤を主に扱う薬局も併設されている。
処方箋を持って行くとすぐに調剤してもらえるというメリットもある。


松本恵美は、今朝から体調が悪く、昼頃になると熱っぽさを感じていた。
大学の授業が終わると、すぐに下宿に戻ってきて体温を測った。
38度2分。
恵美は、体温計を見ると急に病気が重くなったような気持ちに陥った。

押入れから布団を出し、その中にもぐりこんだ。

明日の授業は、午前中は入っていないものの午後からぎっしりと詰まっている。

『明日の朝、早めに病院に行こう』


恵美は、大学1年の時、同じように熱を出したことがある。
自然に治ると思い病院に行かずにいたら、風邪をこじらせてしまった。
3日目に病院に行ったが、結局は1週間、学校を休んだ。
恵美は、その時のことを思い出していた。


あくる日の朝、恵美は体温を測った。

37度7分と少し熱は下がっている。
できたら、このまま布団の中にいたい。
だが以前のように長引いては困る。

『やはり病院に行くか』

恵美は、体のだるさを感じながらも布団から出て身支度をした。

『あの時に行ったビレッジの医院に行こう』

下宿から歩いて10分弱。
恵美は、マスクをしてその病院に向かった。


ビレッジに近づくと、駐車場が見えてきた。
優に40台は止めることが出来るだろう駐車場は満車だった。
入ってこられない車は、駐車場入口で待機状態になっていた。

恵美は、その様子を見ながら思った。

『患者さんが多そうだな。
あ、そうか。連休前のせいか』

連休前に病院に行っておこうと思う患者が多いのではなかろうかと
想像しながら、駐車場を横切りビレッジの一角にある内科に向かった。

中に入ると、既に多くの患者が待合席に座っていた。

『この場にいるだけで、もっと熱が出そうな感じがしてくる』

恵美は、この様子を見てやれやれとため息をついた。


だがこのまま帰るわけには行かない。



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