接客の考え方

異なる常識

書籍、「加賀屋の流儀」極上のおもてなしとは 細井勝著(PHP)
の一部をご紹介致します。

加賀屋は、第34回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」において、
29年連続総合日本一の評価を受けているところです。
ご存知の方も多くいらっしゃるでしょうし、泊まったという方もいらっしゃるでしょう。
私も、以前、泊まったことがあります。


さて、本の一部をご紹介します。
▽引用 始 ……………
世間の常識、お客様の常識と加賀屋の常識は一致しない。
チェックインしたばかりのグループ連れを客室に案内して、最初に抹茶を出すときも、
客室係は誰がもっとも目上の人なのか、それを見極めて出さなければならない。
和室は、床の間があれば、その前が上座、床の間がなければ、奥が上座、主客の左隣が次席となる。

望月さん手作りのマニュアルブックにも、そのことは書いてあるが、
上下関係に頓着しない主客の場合、実際にはどこに座るか、かいもくわからない。
加賀屋では、それでも誰がもっとも目上の人なのか、
客室係は客室に案内するときから、さりげなく人間関係を観察している。

それでも、これは難しい。同じような年恰好の人が何人もいる部屋では、
結局、上座に腰を下ろした人に最初にお茶を出してしまう。
しかし、主客に気を使うほかの客たちからは、
「違うよ。最初はこの方にお出しして」
などと叱責が飛ぶことが珍しくない。
世間一般の旅館であったなら、
「だって、わからないものなぁ」
というひと言でお咎めはないのかもしれない。
しかし、加賀屋はそこまで繊細でたしかなサービスを求められてしまうのである。
なぜなら、日本一の旅館だからであり、客もまたそう思っているのである。

△引用 終 ……………

お客様のためにと何かして差し上げた時、逆に叱責されると、どんな気持ちになりますか。

「そんなこと言われても、ほとんどのお客さまは喜んでもらえるのに」
「今まで、そんなことを言われたことはないのに」
「せっかく、お客様のためにとしたことなのに」

と思ってしまうことはないでしょうか。


世間の常識、店の常識、自分の常識、お客様の常識は異なります。
この点を、しっかりと認識しておかなければ、
お客様のために、と言いながら自己中心の接客になってしまいがちです。

「お客様のために〇〇をしたのに」という「お客様のため」は、
自分の視点であることが多いような気がします。

お客様の視点に立とうとすると、一人一人、常識が違うことがみえてきます。
自分の想定外のお客様と、自分の想定内のお客様では、案外、想定外のお客様から学ぶことが多いのです。

また、
「あのお客さま、世間知らずよね。みんな知っていることなのに」
と、世間の常識という観点から捕らえるのも、お客さまに失礼になってしまう時があります。

というのは、案外世間知らずの自分がいるからです。

「え〜、そうなんだ。知らなかった〜」
と、気づく時ってありませんか。


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